子グモの成長

メスジロハエトリの子グモ

小さな世界で繰り広げられる弱肉強食の世界


6/8投稿 の記事のその後のメスジロハエトリの子グモたちの様子です。

深度合成での撮影は精細に写すことができるが、写るのは何も見たい世界だけではない。
時には見たくないものも写さなくてはならない時がある。
子グモの大きさは米粒ほどの大きさだが、その小さな世界にも容赦なく弱肉強食の自然淘汰の波が押し寄せる。

6/8撮影 孵化後六日目
飼育容器の中の産室の様子。写真の中で確認できるのは7頭だが、産室の外に2頭でていて、計9頭の子グモを確認。



6/4撮影 孵化後二日目
子供の落書きのような二次元的な顔。撮影していておもわず吹き出してしまうほど、可愛い顔。

6/8撮影 孵化後六日目
2日目には紙に落書きしたようなとぼけた顔だったが、たった6日間でここまで成長している。各目もくっきりとしてきてレンズの奥にある網膜も発達し、日増しに黒みが大きくなり且つ奥へ伸びていくのがわかる。おそらくハエトリグモの一生のうち、一番キュートな顔なのではないかと思うくらい可愛い時期。
6/8の撮影時点で9頭の個体を確認できたのだが、うち一頭は既に息絶えていたので、残り8頭だ。
生き残った個体は1頭を除いてすこぶる元気だ。その1頭というのが次の写真の1頭で左側の3本の脚を欠いている子グモだ。2日目からこの子は確認していたのでなんとか無事に脱皮して成長してほしい。時折野生で脚の大きさが左右で違う個体を見るのだが、次のステージに脱皮するときに再生する様子を確かめたい。

6/10撮影 孵化後八日目
一番最後に脱皮を迎えようとしている脚を三本欠いた子グモと脱皮を終えた姉妹。
6/9は撮影しなかったが、6/10未明に確認した時点では第一幼体だったのだが、寝ている間に7頭は既に脱皮を終えて2齢に成長していた。脚を欠損している子が最後に残った1齢幼体だ。もう息絶えてしまったのかと思うほど微動だにしないが、撮影を始めて、深度合成用の最後のカットを切る瞬間に右第4脚が動いた。おかげで腹部にはピントは来なかったが、正直、動いてくれてホッとした。撮影の間中、先に脱皮を終えた姉妹が傍らに寄り添い見守っているかのようだった。

6/8撮影 孵化後六日目
既に息絶えてしまった子グモのうちの1頭
順番が前後するが、この写真は6/8撮影の別の個体のカットだ。ひっくり返った子グモが変色して既に息絶えていた。なぜ絶命してしまったのかは不明だ。その手前には姉妹が佇んでいる。変色した個体は翌日、跡形もなく消えてしまった。おそらく母グモに食べられたのではないかと考えるのが妥当だろう。なぜなら、翌9日には兄弟姉妹はまだまだ一齢のままだったので、共食いをしたとは考えにくい。

6/10撮影 孵化後八日目
母グモの上に乗る2齢幼体の子グモ。巣立ちは間近だ
この写真を撮影後、11日夜の時点で中を確認したら、7頭しか残っていなかった。亡骸も見当たらない。結局脚を欠損していた子グモは母グモに食べられてしまったようだ。生き残った7頭は全部元気はつらつで左右の足の大きさが違う脚が再生したと思われる個体は見当たらなかった。
ところで、なぜ、15個の卵が7頭に減ってしまったのか?
飼育容器に閉じ込めての断片的な観察を自然の状況と同等に考えるのには無理があると知りつつ推察すると、この母グモは体があまり大きくなかったため、栄養が足りず、足りないエネルギーを子グモで補ったのではないかと考えている。卵の殻や脱皮した抜け殻も減っている。また、産室を開ける度に、糸で補強している様子から、結構なエネルギーが必要なはずだ。もし産卵前に充分な栄養を蓄えていたとしたら我が子を食べなかったのではないか? クモを誤解して欲しくないので言っておくと母グモは他の生き物同様、子煩悩だ。途中、エサのハエを入れてみたが食べなかったので、育児中は食べないのか、この個体だけ食べなかったのかわからないことだらけだが、巣立ち行く子グモたちの姿を見ていると兄弟姉妹との生存競争が既に始まっていて、命を繋げていく難しさを教えてくれるかのようだ。





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