メスジロハエトリの産卵

メスジロハエトリの産卵


ハエトリグモを撮っていると、5月はイベント続きで忙しい。
生殖行動、脱皮、産卵と立て続けに入れ替わり立ち替わり色々な種がイベントを迎えるのだ。
お腹の大きいメスを捕まえてくると、結構な確率で産卵を控えている個体が多い。
現在のところ10匹ほどのクモを自宅で飼っているのだが、そのうちの二頭のメスが産卵した。

Phintella versicolor x2.2
卵を守るメスジロハエトリ
Nikon D7100 AF MICRO-NIKKOR 60mm f2.8D + Kenko Extension Tube 36mm 撮影倍率3.3倍相当
78枚をZereneStackerで深度合成処理
一頭はネコハエトリのメスで今朝(5/24未明)に産卵していた。
そしてもう一頭がメスジロハエトリでこちらは5月22日未明に産卵を確認していた。

瞬く間に成長してしまうので、チャンスのあるうちに撮っておかないと次は翌年に持ち越すことになってしまう。そこで今日、レンズのテストも兼ねて撮影してみた。

ハエトリグモの産卵をライブで見たいと思いすでに3年が経ってしまったが、未だに産卵中は見逃している。四六時中張り付いているわけにもいかないので、気がついたら産んでいた、という訳だ。
産卵後から巣立ち直前までの間は比較的ゆったりと進む。なぜなら、産卵を終えたハエトリグモは、孵化までおおよそ2週間、孵化後さらにおよそ2週間で巣立ちを迎えるのだが、その間母グモはほとんど飲まず食わずで産室の中に籠もり、子グモを身じろぎもせず守る時期なのであまり動きがないからだ。。
産室の中のクモは母性本能からかほとんど動かずに卵を守るので深度合成での撮影をするのにうってつけだ。

卵はだいたい10-15個前後生む個体が多く、今回のメスジロハエトリはあまりお腹は大きくなかったが、合計で16個の卵を産んだ。一つは僕が飼育容器を開ける際に誤って割ってしまい、産室に残る卵は15個だ。予定では6月5日前後に孵化すると思っているのだが、どうだろう。

今回の撮影では、AF MICRO-NIKKOR 60mm f2.8D + Kenkoデジタル接写リング36mmと最近手に入れたMacro NIKKOR 19mm f2.8 +Kenkoデジタル接写リング20mmで撮影した。そして比較のためにZuiko Auto-Macro 20mm/f2.0で撮影した同じ種の作例もアップしてみた。
Macro NIKKOR 19mm f2.8作例 卵を守るメスジロハエトリ♀
Nikon D7100 w/Macro NIKKOR 19mm f2.8 + 
Kenko Extension Tube 20mm 撮影倍率9倍相当
51枚をZereneStackerで深度合成処理

Zuiko Auto-Macro 20mm/f2.0作例 メスジロハエトリ♀
Nikon D7100 w/Zuiko Auto-Macro 20mm/f2.0 + OM-F Adapter 
 撮影倍率9倍相当
42枚をZereneStackerで深度合成処理



Macro NIKKOR 19mm f2.8 

今回使ったレンズの一本 Macro NIKKOR 19mm f2.8

 入手の経緯 

玉数が少なくチャンスがあったら手に入れたいと思っていた。だが、手に入れた当初はレンズの中がホコリだらけで途方に暮れた。ロクに確かめもしなかった自分も悪いのだが、eBayの洗礼を受けた感じで、あまりのショックにレンズ内の酷さの写真を撮る心の余裕にないままメーカーさんに持って行ったら部品がないので分解も清掃も出来ないと断られお先真っ暗に……。急遽探した東京世田谷にあるヨコタカメラさんに分解清掃を頼んだら、まるで新品のようになって帰ってきた。レンズ内以外のコンディションは元々良かったのとレンズ内もホコリだけでカビが生えてなかったのが幸いし、大感激だった。古いレンズばかりを使っている僕としては実に頼もしい修理屋さんだ。

 使用感 

さて、ようやく手元に戻ってきたというもの、実際使い始めてみると、試し撮りさえ、万端に準備を整えてからでないと、写らない。が、セッティングを調整し、心して撮ると大きな見返りが来る。短いベローズの繰出量では真価を発揮できないと言われているが、9倍相当程度の繰出量で撮ったところ、Zuiko Auto-Macro 20mm/F2.0と倍率も同程度だが、色収差が出ないのが優れている。Zuiko Auto-Macro 20mmは等倍で見るとキャッチライトの光源の縁に酷いとは言わないまでも、そこそこ気になるレベルのパープルフリンジが出るのだが、それから解放されるだけでも相当嬉しい。また、小絞りボケの関係でZuikoは絞ってもf2.8までなのだが、Macro NIKKOR 19MMは#3(f5.6相当?)、もしかしたら#4(f8.0相当?)まで充分使えそうなので撮影ピッチを広げて撮影枚数も少なくできそうだ。実は生きているクモにはこのレンズでは相当ハードルが高くなると思っていたのだが、今回のように動きの少ない条件のクモに出会えれば、相当活躍してくれそうだ。

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